ENCYCLOPEDIA ・ 鳥脚類
ヒパクロサウルス
Hypacrosaurus ・ 1913年命名
中空のとさかと背中の高い神経棘をもつランベオサウルス類である。巣・卵・孵化直後の幼体が見つかっており、赤ちゃんの化石が最もよく知られたハドロサウルス類の一つである。
- 分類
- 鳥脚類 ・ ハドロサウルス科
- 時代
- 白亜紀後期(約7500万〜6950万年前)
- 全長
- 約9m
- 食性
- 植物食
- 発見地
- カナダ、アメリカ
ホースシューキャニオン層(アルバータ州)
特徴
ヒパクロサウルスは、コリトサウルスに似た姿のハドロサウルス科(カモノハシ竜)である。頭には中空の丸いとさかがあるが、コリトサウルスほど高くなく、上が尖り気味で横幅が広く、後ろに小さな骨の突起がある。背中の椎骨の棘突起は椎体の5〜7倍の高さがあり、横から見ると背中が高く盛り上がっていた。
全長約9m、体重は最大約4トンと推定されている。ほかのランベオサウルス亜科と違い、少なくとも模式種ではとさかの中の空気の通り道がS字に曲がっていない。多くのハドロサウルス類と同じく、二足でも四足でも歩く植物食の恐竜であった。
発見と命名
模式標本は1910年、バーナム・ブラウンがアメリカ自然史博物館のために、カナダ・アルバータ州のレッドディア川沿い(現在のホースシューキャニオン層)で集めた。いくつかの椎骨と骨盤の一部からなる部分骨格で、ブラウンは1913年に新属として記載した。頭骨はその後に見つかっている。
属名は「最も高いものに近いトカゲ」を意味し、ティラノサウルスにはわずかに及ばないほど大きいと考えられたことに由来する。かつて別属とされた小型のケネオサウルスは、1970年代にピーター・ドッドソンがこの属の幼体だと示唆し、その考えが受け入れられている。1994年には、モンタナ州とアルバータ州の白亜紀後期カンパニアン期の地層から見つかった巣・卵・孵化直後の幼体などをもとに、第2の種ステビンゲリ(H. stebingeri)が名付けられた。
分類と研究
ハドロサウルス科ランベオサウルス亜科に属し、ランベオサウルスやコリトサウルスに近い。2004年のニッポノサウルスの再記載では、ニッポノサウルスがステビンゲリより模式種に近いとされたが、その後のより広い解析では否定され、2種はニッポノサウルスを除いてまとまるとされた。とさかは、性別や種を見分ける目印や、音を響かせる共鳴室だった可能性が高い。
ステビンゲリは、ハドロサウルス類で最も多くの赤ちゃんの骨格が見つかっている種である。卵は約24×18.5cmのほぼ球形で、胚の歯の成長線から抱卵期間は少なくとも約171日と推定されている。成長は捕食者のアルバートサウルスやティラノサウルスより速く、2〜3歳で繁殖できるようになり、10〜12歳ごろに最大の大きさに達したと考えられている。2020年には、孵化直後の個体の頭骨から軟骨細胞のような構造が報告された。
見られる博物館
- 国立科学博物館日本 東京都台東区 ・ 実物を含む親子の全身骨格
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出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。