ENCYCLOPEDIA ・ 鎧竜類
サイカニア
Saichania ・ 1977年命名
非常に頑丈な体を持つアンキロサウルス類で、名前はモンゴル語の「美しい」に由来する。頭骨の複雑な鼻腔は乾燥した環境で吸気を冷やし水分を保つ働きがあったと考えられる。
- 分類
- 鎧竜類 ・ アンキロサウルス科
- 時代
- 白亜紀後期(約7400万〜7200万年前)
- 全長
- 約5〜7m
- 食性
- 植物食
- 発見地
- モンゴル
バルンゴヨト層(ゴビ砂漠・フルサン)
特徴
中くらいの大きさのアンキロサウルス類で、全長は約5〜7m、体重は1.4〜2トンほどと推定されている。体は低く平たく、4本の短い脚で立ち、前肢はとても力強い。アンキロサウルス類のなかでも特に頑丈で、首の椎骨、肩の骨、肋骨などが癒合したり固くつながったりしていた。
頭は丸く膨らんだ装甲の板で守られ、胴には竜骨のある皮骨が並ぶ。尾の先にはこん棒があり、タルボサウルスのような捕食者から身を守れたと考えられている。肋骨の間の軟骨が骨の板になっているのも特徴である。
頭骨の中には非常に複雑な空気の通り道があった。吸った空気を冷やし、水分が失われるのを抑える働きがあったとみられ、硬い口蓋とあわせて、暑く乾いた環境で暮らしていたことを示すと考えられている。
発見と命名
1970年と1971年、ポーランドとモンゴルの合同調査隊が、ゴビ砂漠のフルサン(クルサン)付近で鎧竜の化石を見つけた。1977年、ポーランドの古生物学者テレサ・マリャンスカが、近縁のタルキアとともにサイカニア・フルサネンシス(Saichania chulsanensis)と名付けた。
属名はモンゴル語の「美しい」に由来し、タイプ標本の保存のよさを表す。種名は産地フルサンにちなむ。タイプ標本はバルンゴヨト層から出た頭骨と体の前半部で、骨の多くと装甲が生きていたときの位置のまま残っていた。V字形の大きな舌骨も見つかり、1977年当時、恐竜で最も完全な舌骨とされた。
分類と研究
アンキロサウルス科に入る。2014年の研究では、それまでタルキアとされた頭骨をこの属に含め、中国のティアンツェノサウルスなども同じ恐竜とする意見が出たが、この頭骨は別のタルキアの新種とする研究もあり、どの標本をこの属に含めるかは説が分かれる。
2011年に記載された幼体の骨格も、のちに頭骨の部分が複製で補われていたことが指摘され、残りは別の鎧竜のものである可能性があるとされた。十分に記載された標本は体の前半部だけで、全身の姿にはまだ分からない点がある。
見られる博物館
- 神流町恐竜センター日本 群馬県多野郡神流町 ・ 全身骨格
同じ鎧竜類の恐竜
同じ白亜紀後期の恐竜
同じ国(モンゴル)で見つかった恐竜
出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。