ENCYCLOPEDIA ・ 獣脚類
ゴビヴェナトル
Gobivenator ・ 2014年命名
白亜紀後期のトロオドン類として最も完全な、頭骨付きのほぼ全身骨格が見つかっている。日本とモンゴルの研究者が記載し、属名は「ゴビの狩人」を意味する。
- 分類
- 獣脚類 ・ トロオドン科
- 時代
- 白亜紀後期(約7500万〜7100万年前)
- 全長
- 約1.7m
- 食性
- 肉食
- 発見地
- モンゴル
ジャドフタ層(ゴビ砂漠)
特徴
ゴビヴェナトルは全長約1.7m、体重約9kgと推定される小型の獣脚類である。鳥に似たきゃしゃな体つきのトロオドン科に属し、このなかまは下顎に歯がすき間なく多数並び、鎌のようなかぎ爪をもち、鳥類以外の恐竜としては脳が大きいことで知られる。
左右の頭頂骨が前端の尖った形で癒合していること、下顎の上角骨の後ろの孔の前にくぼみがあることが、他のトロオドン科と区別する特徴とされる。頭骨はほとんど歪まずに残っており、口蓋(口の天井)の骨のつくりから、ドロマエオサウルス科や始祖鳥(アーケオプテリクス)のような原始的な鳥類に近い関係が支持される。頭骨そのものは動かないが、のちの鳥類で頭骨が動くようになるための前提となる特徴をすでにそなえていた。
発見と命名
唯一の標本は、日本とモンゴルの合同調査隊がモンゴル・ゴビ砂漠中部のジャドフタ層ザミン・ホンド地区で発見した。地層はカンパニアン期後期の約7200万年前のものとされる。吻の先、首の中ほど、肘から先の前肢などを欠くが、頭骨を含めてほぼ全身が関節したまま立体的に残っており、白亜紀後期のトロオドン科として最も完全な標本である。
2014年、對比地孝亘、リンチェン・バルスボルド、渡部真人らが命名した。属名は発見地のゴビ砂漠とラテン語の「狩人」、種小名モンゴリエンシスは「モンゴルの」を意味する。標本はウランバートルのモンゴル古生物学センターに収められている。
分類と研究
記載時の系統解析では、モンゴルのサウロルニトイデスやザナバザル、北アメリカのトロオドンなど、白亜紀後期のトロオドン科に近い進んだ位置に置かれた。2024年のヒプノヴェナトルの研究では、トロオドン亜科の根元に近い位置とされている。トロオドン科の体のつくりはよく分かっていない部分が多く、この標本はその詳しい情報をもたらしている。
見られる博物館
- 岡山理科大学恐竜学博物館日本 岡山県岡山市北区 ・ 標本
展示された特別展
- 特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」2022年7月16日〜2022年10月10日 ・ 国立科学博物館 ・ 日本・モンゴル隊が発見
この恐竜が登場する本
- 化石ハンター展 ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣 特別展日本経済新聞社、日経サイエンス(編) ・ 図録アーカイブ
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出典
数値は研究により変わる概数。内容は2026年10月時点。